レンタルサーバー「さくらインターネット」で運用していたMovable Type(以下、MT)をMovable Type クラウド版に移行した経緯と手順についての備忘録。
目次
まず経緯から
Movable Type6系で約8年前に構築したWEBサイト、ここ数年リニューアルを打診してきたがなかなか話が進まず。
構成は、ウェブサイトが2つ(メインドメインとサブドメイン)、その一つのウェブサイトにぶら下がるブログ2個に加えて年度毎に追加されるブログが9個。
年度追加されるブログは、カスタムフィールドやMTタグをごりごり使ったかなりボリュームがある骨太!?サイト。
昨年(2021年11月)のMT脆弱性の問題が発生し、皮肉にもようやく見直しが必要と認識したという経緯である。
とはいえ、その前から問題は既にいろいろあった。
1.MTのバージョンアップとライセンス問題
バージョンアップは、WordPress(以下、WP)のように管理ページのボタン一つで出来ないという不便さ。
そしてバージョンアップに対応するには、ライセンス製品「Movable Type 年間メンテナンス」の有償購入が1年毎に発生する。
2.サーバ側からMySQL5.5→5.7へのアップデート要求
確かにMySQL5.5のサポートは終了しており、サーバ側もボタン一つで移行できるツールも用意されている。しかし、MySQL5.7に対応しているのはMT6.3以上となっている。
上記問題に対応するよりは、完全リニューアルがいちばん合理的と判断するが、如何せん予算と時間(構築スケジュール)が今はないとのこと、苦肉の策をいろいろ提案したが、優先順位は安全を確保し現状維持(+予算を最小限に)ということに。
上記の問題を受けて、バージョンアップやサーバの環境に影響せずに運営できるクラウド版への移行を検証することとなった。
移行手順
1.いちばん手ごろな「MovableType.net」の移行が維持費を抑えられることから、まずはMovableType.netのサイトの「MovableType.net 導入コンサルティング」フォームにて相談申し込みを行った。
すぐにメール連絡があり、ZOOMウェブ会議での相談。
シックスアパートF氏と技術者の方1名との面談。
F氏とは以前面識もあったこともあり、オンライン上でも問題なく気軽にいろいろな相談ができた。
結果、MovableType.netへの移行はNGであることが判明。
いくつか問題点があるが、その一つとしてカスタムフィールドの個数制限があること、移行サイトはその制限数をはるかに超えている。
また、MTタグも一部対応していないということもあった。
そこで、次はMovable Type クラウド版への相談。
事前にMT環境などをメールで伝えてあったので、最安値プランのS1iで移行、運用は可能ではないかとの回答をもらう。
ただし、1ドメイン運用なので、サブドメインのウェブサイトは、事前に1ドメインに移行(ディレクトリ)しておくことが条件であるとのことであった。
また、現在使用しているプラグインとの互換性については、ここでは確定できないとのこと。
そこで更なる提案として、確実に移行できるか検証するすることができる仕組みがあるとのことで、
「無料引っ越しサービス事前調査依頼フォーム」を案内された。
無料で検証してくれるサービスで、導入する上で有難いサービスである。
実際に検証して、Goが出た場合の次のステップやスケジュール調整などの確認を行って、事前調査の申し込み時期を決定した。
2.移行完了時期を見定め、4月に「無料引っ越しサービス事前調査」を申し込む。
申し込み後、追加情報の提供が欲しいとあり、メールにて返信。
引越し結果の回答は2週間先を予定と連絡があった。
きっちり2週間後、移行可能との回答のメールあり。
Movable Type クラウドへの移行は可能です。
メール最後の「調査結果」で注意事項等をご説明いたします。
・・・メール引用
有料プラグインの再購入(MT7対応用)が必要である旨が記されており、その他のプラグインはMT Ver.7でも問題ないということであった。
次のステップとして「無料引っ越しサービスお申し込み方法」という内容の案内もあった。
上記を申し込むには、まずは〈シックス・アパート〉 Movable Type クラウド版への申し込みが必要とのこと。
3.Movable Type クラウド版への申し込み、S1i7プランの利用開始
サイト移行完了予定は8月、逆算し余裕を見て6月に申し込み。
契約方法は、3種類
- 販売店ECバイヤーズで申し込み(各種支払い方法が可能)
- クレジットカード払いでシックス・アパートに申し込み
- 請求書払いでシックス・アパートに申し込み
今回はシックスアパートにて、「Movable Type クラウド版お申し込みフォーム」上記3の請求書払いとした。
翌日に利用開始の案内があり、
・Movable Type クラウド版 管理画面へのサインイン情報
・Movable Type クラウド版 マイページ にログイン情報
も含めた情報で、パスワードの再設定など簡単な初期設定を行う。
4.無料引越しサービスを申し込む
Movable Type クラウド版 マイページにログインし、
・メニュー > サポート > お問い合わせ・お申し込み
から申し込みを行う。
お問合わせの種類:プルダウンから「無料引っ越しのお申込み」を選択。
引っ越し元URLを入力して、申し込み完了。
引越しサービスの詳細は、「Movable Type クラウド版 無料引っ越しサービスのご案内」
申し込み後、「Movable Type クラウドサポートチーム」からメール返信があり、引越しに必要な情報が明記されており、その項目に対しての回答を送付する。
いくつか不明な点がありメールでのやりとりを経て、引越し作業が開始される。
サイトの引っ越し作業は、2週間。
完了後、以下のメールが届く。
・引っ越し先環境の管理画面URLが案内され、引っ越し内容について問題ないかご確認ください、とのこと。
・ドメインは、引っ越し元サイトで運用中のため、引っ越し先環境の表示については、クライアント PC の hosts ファイルに、指定されたIP+ドメインの記述を追記して確認するよう案内があった。
ドメインはSSL(https)で運用しているため、クライアントPCでの確認は、httpでの確認となる。
・3週間後までに問題や不明な点があれば連絡をする。
Ver.7対応の有料プラグインを購入・導入し、その上でざっくり確認を行い、問題がないことをお知らせして「無料引っ越し」は無事完了した。
5.ドメインの切り替え
クラウド版では、ドメイン管理はしていないので、他サービスでドメイン取得が必要である。
今回はドメイン管理を行っているさくらインターネットにて設定を行う。
ドメインの切り替えについては、移行相談時や引っ越し完了時にも丁寧な案内とマニュアルを提示してもらっている。
とはいえ、移行時の失敗はしたくないので、ドメイン管理しているさくらインターネットとシックスアパートに質問や再確認を行った。
今回の案件は、wwwなしのドメイン運用なので、マニュアルサイトにてQ.ネイキッドドメインを使用したいを参考にする。
ドメインのゾーン編集にて、A レコードをMovable Type クラウド版の IP アドレスに変更する。
また、このドメインでのメールアドレスは利用しないので、既存のレンタルサーバは解約することとした。ちなみに、ドメインのアカウントを利用する場合は、別途メールサーバー契約が必要である。(もしくはそのままサーバ契約を継続する)
ドメイン切り替え、WEBサイト移行時の手順
1) ゾーン編集(開始時刻:13:49)
Aレコード 旧IP → 新IP
2) SSL設定(14:11)
Movable Type クラウド版 管理画面へのサインイン
ダッシュボード > システム > クラウドサービス > ウェブサーバー設定 > サーバー証明書の更新
・サーバー証明書を有効にする
証明書のタイプ:Let’s Encrypt(無料)
「変更を保存」をクリック
3) SSLでクラウド版へのアクセスを確認(完了時刻:15:15)
約30分間で、Movable Type クラウド版への移行が完了した。
番外編:
さくらインターネットのサーバは解約するまで、既存の1メールアドレス(クラウド版では廃止)を設定していた。
ドメインのゾーン設定で
MXレコード 10 @ → 10 初期ドメイン.
として運用。
解約日前日に、 10 初期ドメイン. → 10 @ とした。
移行後の更新作業、通常のお知らせ情報などの投稿は問題なく行われている。
今年12月の年度更新作業が大きな更新となるが、問題が発生しないことを祈るのみである。
アップデートやサーバメンテナンスなどのお知らせが定期的にメールで案内されてきている。
常に最新バージョン、最適環境での運用。
このクラウド版のメリットをしばらくは享受しよう。